呆れるほどの愛を、キミに
□嫉妬の嵐
4ページ/5ページ
「邪魔なんスけど」
「うるさい」
「仕事の邪魔。それとも手伝ってくれるんスか?」
「邪魔じゃない。手伝わない」
「邪魔」
もう財前なんか無視だ。とりあえず今は静けさに呑み込まれたい。本当は金ちゃんに癒されたい。
机に突っ伏していると、財前の大きな溜息が聞こえた。
「そんなに部長が他の女子に告白されんのが嫌なら、部長に言えばいいやないっスか」
確かにそうなのである。白石のことは信じている。だが、どんなに信じていても心が苦しい。白石のように素直に言えたらいいと思う。でも……
「言えないんだよね。なんだかわかんないけど……」
どうして自分はこんなにも恋愛に関しては消極的なんだろうか。そんな自分が嫌になる。
財前の顔を見れば、呆れている表情をしていた。
「波良先輩の気持ちもわかります。でも、あんなにも自分の気持ちを表現するアホ(部長)なんスから、心配する必要ないっスわ」
財前はさらに言う。
「あのアホ(白石)が浮気しないこと、俺が保障します。だから、波良先輩も正直に自分の気持ち言うたほうがええと思いますよ」
「……うん、ありがとう」
ヴヴヴヴヴ……
マナーモードの携帯が震える。開けば白石から今どこ?とメールが来ていた。
「私、行くね」
「やっと邪魔者が消える」
「ありがと、財前。今度ぜんざい奢る」
「頑張れ、波良先輩」
心のモヤモヤが少し晴れた私は、お弁当を持って、そこまで速くないが駆け足で白石の元へと向かった。
「これでぜんざい2つやな」
私が去ったあとに、財前はそう呟いた。