日吉君の隣の席の彼女
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「こんなところで会うなんて偶然だね。何か用事でもあるのかい?」
「はい。河村さんも?」
「俺は試写会の券が当たったから、亜久津と一緒にね」
そう言って河村さんが洋菓子のコーナーを見るので、そちらに目をやった。
「なんで、テメェがここにいんだよ?」
「それはこっちのセリフよ」
「いい加減、その手を離せや」
「それもこっちのセリフよ」
一触即発の服部と山吹中の亜久津さんがいた。たった1つのモンブランで争っている。何やってんだ、あいつ……。
「あれ、藤子ちゃん?」
「服部と知り合いなんですか?」
「うん。亜久津も藤子ちゃんと知り合いだよ」
初めて知った服部の新たな一面。友達があまりいないとずっと思っていたが、意外にも他校にいた。でも、その友達も男であって、やはり女友達は少ないようだ。
「あ、そうか2人とも氷帝だったもんね。日吉は服部ちゃんと付き合ってるの?」
「いいえ。それより、あの2人を止めなくていいんですか?」
「大丈夫。ああ見えて2人は仲が良いから」
河村さんはそう言っているが、
「そういえばテメェとは一度も決着つけてなかったな」
「じゃあ今すぐ決着つけましょう。外行こうか?」
「そう言って俺が手を離したときに、これをレジに持ってく気だろ?俺は騙されねぇ」
「だったら同時に離しましょうよ。それなら文句ないでしょ」
ガキのような争いをしながら、回りにいる他人や店員をビビらせている。