日吉君の隣の席の彼女

□#33
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「こんなところで会うなんて偶然だね。何か用事でもあるのかい?」

「はい。河村さんも?」

「俺は試写会の券が当たったから、亜久津と一緒にね」


そう言って河村さんが洋菓子のコーナーを見るので、そちらに目をやった。


「なんで、テメェがここにいんだよ?」

「それはこっちのセリフよ」

「いい加減、その手を離せや」

「それもこっちのセリフよ」


一触即発の服部と山吹中の亜久津さんがいた。たった1つのモンブランで争っている。何やってんだ、あいつ……。


「あれ、藤子ちゃん?」

「服部と知り合いなんですか?」

「うん。亜久津も藤子ちゃんと知り合いだよ」


初めて知った服部の新たな一面。友達があまりいないとずっと思っていたが、意外にも他校にいた。でも、その友達も男であって、やはり女友達は少ないようだ。


「あ、そうか2人とも氷帝だったもんね。日吉は服部ちゃんと付き合ってるの?」

「いいえ。それより、あの2人を止めなくていいんですか?」

「大丈夫。ああ見えて2人は仲が良いから」


河村さんはそう言っているが、


「そういえばテメェとは一度も決着つけてなかったな」

「じゃあ今すぐ決着つけましょう。外行こうか?」

「そう言って俺が手を離したときに、これをレジに持ってく気だろ?俺は騙されねぇ」

「だったら同時に離しましょうよ。それなら文句ないでしょ」


ガキのような争いをしながら、回りにいる他人や店員をビビらせている。
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