そんな彼女と学園祭!

□8月20日(土)
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「ええ、それです。すみません……」


と言って受け取ろうとしたら、さらにお弁当を自身の頭上へと掲げられた。


「おっと、拾ったもんだから1割寄こしな」

「…………」


だが、頭上へと掲げられても私でも取れそうな位置にある。
ここで簡単に取ってしまうと岳人先輩のプライドを傷つけるような気がして実行できない。


「悔しかったら取ってみろー」

「わかりました」


サッと取り上げてみた。


「…………」

「では、私はこれで」


岳人先輩はいじけてしまったようだが、気にしないでおこう。私とジロー先輩は、立海の会議室へと向かった。

そういえば、何か忘れている気がする。










「…………」

「跡部さん……泣かないで、ください……」

「……行くぞ、樺地」

「ウス」












「Zzz……」

「ジロー先輩、寝ながら歩くと危ないですよ」

「大丈夫だC……」


ゴンッ


「痛い……Zzz……」

「壁にぶつかって、まだ寝るんですか」


危なっかしいジロー先輩と立海の会議室に向かう途中、反対方向から1人の男子生徒がやってくる。それは私もよく知る人物……だと思うんだけど。


「……蓮二さん、こんにちは」

「こんにちは。今、向かう所だった」


……出会った蓮二さんに何故か違和感を覚える。それはジロー先輩も感じたようで……。


「あれ、柳、背縮んだ?」

「別に縮んではいないが」

「跡部と同じくらいにみえるC」

「私もそう思います。それに肌の色もいつもより白いような」

「気のせいだろう……芥川、丸井ならまだ会議室にいるぞ」

「本当!?俺、会いに行ってくる!」


ジロー先輩はブン太さんに会うために、風のように立海の会議室内へと行ってしまった。

残されたのは私と違和感あり過ぎの蓮二さん。


「ここには食堂があるらしい。そこで昼食にするか?」

「あ、私、お弁当作ってきたんですよ」

「本当か?それは嬉しいな」


今日は晴れているので広場で食べることにした。
広場にあるベンチに座り、お弁当を広げる。蓮二さんは和食のほうが好まれるので、煮物や焼き魚などのおかず、前にかわむらずしで教えてもらった稲荷寿司を作ってきた。


「お口にあうかわかりませんが、どうぞ召し上がってください」

「いただきます」


箸を手にした蓮二さんが煮物を1つ摘み、口に入れる。

「美味しい」って言ってくれるかな?「不味い」って言われたらどうしよう……それでも何も言ってくれないよりはマシなんだけど。


「やっぱり、美味いな」

「本当ですか!?よかった〜」


聞きたかった言葉。私、今すごく幸せ……。
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