そんな彼女と学園祭!
□8月20日(土)
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他愛無い会話をしながら、お弁当を食べ終わる。いつもより、美味しく感じたのは隣に蓮二さんがいるから。
ダメだな。私、蓮二さんに依存しているみたい。もし、別れるなんてことになったら、どうなるんだろう……。
「そういえば、今日は泊まりに来るんですよね?夕飯は何か食べたいものありますか?」
「……そのことなんだが」
「はい」
「藤子、話があるんだ」
「?」
改まって言う蓮二さんがすごく真剣な顔をしていて、何故だか不安になってくる。
「別れてくれないか……」
「え……」
それは、とても重い言葉。私自身、蓮二さんの口から聞きたくなかった。
目の前が真っ暗になりそう。“なぜ”“どうして”という文字が脳内を駆け巡る。先ほどの幸せな気分も一瞬で吹き飛んでしまった。
私が何も言えなくなったのを感じとったのか、蓮二さんは私に言い聞かせるように話し始めた。
「最初は確かに惚れていたはずだった。だが、いつしか俺は藤子に対する思いが、恋愛感情というよりは憧れに近い感情になっていた」
俯いて泣くのを必死に我慢するが、それを打ち壊すかのように蓮二さんは語っていく。
「心にわだかまりを残したまま、日々を送っていた。しかし、誰かに話せば楽になるだろうと思い、弦一郎に話したんだ」
「…………」
「話しているうちに気付いたんだ」
ああ、この人はなんて無情なんだ。
「俺は弦一郎が好きだ」
「…………」
「…………」
…………。
「……それは、likeの方ですか?」
やっとのことで出した私の言葉は、戸惑いと驚きが混ざった質問だった。
「いや、loveの方だ」
今までの悲しみはどこへやら。私の半泣き状態は治まった。
「えっと、真田さんって男ですよね?」
「そうだ。軽蔑したか?」
「いや、そんなことはないんですけど……」
驚愕の事実は衝撃が強すぎる。
どう話を続けるか困惑していると、再び蓮二さんが話し始めた。
「藤子には理由を説明するために話したが、俺が弦一郎を好きということを知っている人間がもう1名いる」
「……幸村さんですか?」
「いや、違う」
仲のいい幸村さんではないなら、一体誰だろう。もしかして、真田さん本人……で、2人は両思い……だったら、もはや私に勝ち目はない。
だが、それは意外な人物であった。
「跡部だ。あいつはインサイトで俺の気持ちを見抜いていた」
「あ、跡部先輩が……」
そういえば、さっきアホベ先輩が私に話そうとしたことって、もしかしてこのこと……。
「そして、俺の秘密を知った跡部は誰にも言わない代わりに俺を無理矢理抱いたんだ」
「!?」