魔王、天使に恋する
□魔王、天使に敗北する
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掃除が終わってから部活がある。
いつもは掃除を終え、直木と一緒に部活に行く。
「私、先生に呼ばれてるから精市君に部活遅れるって言ってくれるかな?」
「わかった」
「よろしくね」
ということで、今日は1人で部活へと向かった。
部室で幸村にそのことを伝えたら、いきなり頭を鷲掴みにされた。
「もし、実子が部室に来るまでに他の男子に襲われたり、嫉妬してる女子に嫌がらせされたらどう詫びるんだよ、この糸目が!」
目の前の魔王はとても恐ろしい。周りの奴らは助けてもくれないでいる。
いや、一人いるな。正義感の強い馬鹿が。
「幸村。いい加減にしないか!」
「あ゛?」
ターゲットがどうやら変わったらしく、今は真田が幸村に何度も蹴られている。
「うぜぇんだよ、この老け顔がっ!」
がっ、がっ、がっ
「や、止めんか、幸村!」
「うるせぇよ、おっさん」
もちろん誰も助けない。これは薄情ではない。助けないのが当然の答えなのだ。
魔王を止められるのはただ一人。誰もが切実に思う。
早く天使が来ることを。