魔王、天使に恋する
□魔王、天使への思いを述べる
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「あ、柳君だ」
名前を呼ばれたので振り返れば、直木と幸村の姿。
「おはよう、柳君」
「おはよう、柳」
愛くるしい笑顔で挨拶する天使と、消え失せろ的なオーラを醸し出しながら笑顔で挨拶する魔王。
「お、おはよう。そういえば俺は先生に用があったから先に行く。また後でな」
別に先生に用はない。でも、俺は嘘をつかないと後で魔王に消される。それだけは勘弁してほしい。
意味もなく俺は走りだしだのであった。
玄関に着き、俺のクラスの者たちが使用する下駄箱の方へ行く。そこに人影があることに気づいた。
その人物は俺のクラスの人間ではない女生徒だ。
「!?」
「……そこで何をしている?」
「な、何もしてないよ……おはよう、柳くん」
「……おはよう」
彼女はそのまま去っていくが、誰かの下駄箱に何かを入れていたのは確かだ。
俺は彼女が去ったことを確認しながらそこの下駄箱の使用者……直木の下駄箱を調べた。
「やはりな」
一枚のシンプルな手紙。そこには“今日の授業後、裏庭で待っています”と書かれていた。
手紙を戻し、自分の教室へと向かった。