魔王、天使に恋する

□魔王、天使に………
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幸村が直木に告白してから数日が経った。2人の関係は未だに恋人同士ではない。


「よしっ、休憩!各自、しっかり水分補給を取るように」

「「「「「はいっ!」」」」」

部活は一時休憩に入る。それを見計らって直木が部員全員分のスポーツドリンクをカートに載せて運んできた。

ちなみにこのカートは、直木に重いものを運ばせないようにと幸村が誰にも相談せずに部費で購入した物である。


「はい、ドリンクです」


直木は籠に入れたドリンクを籠ごと地面に置いてから、持ってきたドリンクのうちの1つを手にする。


「はい、精市君」

「ありがとう、実子ちゃん」


この幸村だけに対してのサービスは、彼が直木に頼みこんで実現したものである。

だが、最初のうちは他の人にも配ってしまい、嫉妬に狂った幸村が俺達にグラウンド500週を命じた。

このときは代表で真田が『幸村だけに配ればいい』と直木に言い、それ以降そういうことはなくなった。



「実子ちゃんも休憩しなよ」

「でも、他にもやることあるし……」

「何が残ってるの?」

「洗濯と部室の掃除」

「大丈夫。他の奴にやらせるから」


幸村は直木の腕を引き、強引に自分の隣に座らせた。

最近では2人が座っているベンチはすっかりカップルシートである。
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