魔王、天使に恋する

□天使からの贈り物
1ページ/4ページ


本日は2月14日。世間ではバレンタインデー。

「おはよう、柳」

「精市か。おはよう」


やってきたのは、この行事の主役クラスの男・幸村精市。又の名を魔王……。


「ん、何か言った?」

「いや」


そんな彼は、いつもなら隣に恋人である直木を連れて登校するのだが、その彼女がいない。


「直木は休みか?」

「部の後輩たちにチョコレート渡すからって先に行った」


少し残念そうな顔をしながら幸村は笑顔でいる。


「実子は優しいから、モテない奴らにも情けでチョコを渡すんだよね。それに可愛いから害虫……例えば真田みたいなのが寄ってこないか心配だよ」


幸村の方程式は真田=害虫らしい。

それはおいといて、俺はとあることを思い出した。


「そういえば……直木は極度の“味オンチ”ではなかったか?」

「大丈夫だよ。チョコレートは溶かして固めるだけだから」


幸村と話しながら学校に行き、テニスコートの側を通ったときだった。


「大変だ!切原部長が倒れたー!」


その声を聞き、俺と幸村はテニスコートへと向かった。
赤也が倒れているだろうと思われるそこには、後輩のテニス部員たちが集まっている。そこに近づいてみた。


「あ、幸村部長と柳先輩でヤンス」

「浦山、この騒ぎは一体……」

「それが……」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ