呆れるほどの愛を、キミに

□勝手に婚約者
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「……波良先輩」

「何かな、財前君」

「いい加減にアレ、なんとかしてくれませんか?」


財前君の言う“アレ”とは彼が指で示した方向にいる男、白石蔵之助。

先ほどからこちらを睨むような……いや、主に財前君を睨むような形で見続けている。


「財前君、キミのところの部長さんでしょ?キミがなんとかしなさい」

「何言うてるんスか〜。そんなんやったら波良先輩かて……」










“婚約者”やないっスか





財前君がそう言ったのとほぼ同じタイミングで、本を借りに来た生徒がいた。
私が対応したのはいい。だが、『へぇ、この人が白石の婚約者なん?』みたいな珍しいようなモノでも見るような目で私を見ないでほしい。


「あのさぁ、財前君……」

「何スか?」

「私、白石君の“婚約者”じゃないからね」


そもそも、いつ、どこで、どうして私が白石君の婚約者になったのかわからない。

てか、私も今日知ったのだ。いつの間にか自分が白石君の婚約者になっているという噂を。

それは今朝までさかのぼる。
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