呆れるほどの愛を、キミに
□不自然な行動
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最近、白石の様子が変である。
「………」
「……あの〜、白石、どしたの?」
「ん、いや、何でもない」
今は白石と、久しぶりのお家デートを楽しんでいる。
だが、彼はずっと私の左手を握っている。というか、なんか、揉むように触られている。そんなに私の左手が気に入ったのであろうか。
「白石、手フェチなの?」
「いや、そうやないけど……って、それより」
「何?」
「ええ加減、“蔵ノ介って呼んでや」
「“白石”の方が呼びやすい」
「前に蔵ノ介って呼んでくれたやん」
前……あの時はたしか、M字開脚されたときだ。懐かしい。
白石のせいで死ぬほど恥ずかしい思いをしたのに、今ではそんな彼と付き合っている。不思議なものだ。
「呼んでくれへんの?」
そう言いながら首を傾げてきた。
この王子様フェイス+可愛いしぐさは、私が了承する方向に向けさせる攻撃である。騙されてはいけない。それが通用するのは金ちゃんだけだ。
「気が向いたら呼ぶ」
「気が向いたらか……なら、その気にさせたるわ」
「うっ、ん……」
いきなり白石に引っ張られたと思ったら、口を口で塞がれた。
なんとかして逃れようとするが、さすがは男でありテニス部。力の抵抗では勝てない。
さらに舌まで侵入してくると、彼から与えられる快楽に弱い私は、抵抗する気にもならなくなる。
白石との甘い情事を堪能し、気付いたときには“蔵ノ介”と呼んでいた。