呆れるほどの愛を、キミに
□手作りチョコのススメ
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バレンタインデー……愛する人に何か贈り物をするという企業の売上に貢献する日。
1週間前。放送から流れるバレンタインでお馴染みの曲が自然に耳に流れる中、恋人である蔵ノ介と仲良く昼食を食べていた。
「黒子の口移しで食べたい」
「……吐いてもいい?」
「ええよ。それを俺が口で受け止めるから」
そう言われると冗談なのか本気なのかわからなくなる。だが、彼の今までの行動から考えて99%本気なんだろう。
「お弁当、美味しいな〜」
「なぁ、口移しは?」
「……代わりに“あーん”ってしてあげるから」
「なら、それでえぇわ」
というわけで、蔵ノ介にいろいろとおかずを食べさせていた。
『1週間後はバレンタインやけど、女子はあげる子決まっとるんか?あげるん決まってない子は俺に恵みを!』
放送から聞こえてくるのは私の幼馴染み・謙也の声だ。
『そんな女子たちに朗報やで。男子でとあるアンケートを取ったところ、好きな子から貰うチョコは手作りがいい!と答えた人が多かったで』
そんな情報、知りたくなかった。市販のものをあげる気満々だったのに。
「黒子」
「なに?」
「俺も“手作り”に票入れたんやけど」
「………」
……これは、催促されているのでしょうか……?
「お弁当、美味しいな〜」
「誤魔化すの、下手やな」
蔵ノ介は爽やかな笑みをうかべながら、頭を撫でてきた。どうやら彼は私の気持ちを見抜いているらしい。