CHARM
□CRISIS
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見合いの次の日から夕日里は一緒に暮らすことになった。ほぼ手ぶらでやってきた夕日里の部屋は俺の隣。
今は俺の部屋でチェスをしていた。
「はぁ〜」
「どうした、夕日里。らしくねぇじゃねぇか」
いつもアホみたいに元気のある、というよりは元気しか取り柄のない夕日里が珍しくため息を吐いていた。明日は雨だろうな。
「転校したくないです」
「あきらめろ」
「……はぁ〜、なんで気絶なんかしたんでしょうか……チェックメイト」
「チッ……自分の病を呪うんだな」
アホなわりにはチェスなどの頭脳戦は強い。俺は滅多に勝てないため、何度も挑戦する。
「そもそも一緒に暮らして治るとは思わないんです」
「やってみないとわかんねぇだろ」
「あまり興奮させないでくださいよ。気絶しますから……チェックメイト」
「……それはお前の努力次第だな」
再度挑戦。
「明日は車で送迎させる。迎えのときは俺様も一緒だからな」
「別に構わないです……チェックメイト」
「またか…………俺様が迎えに行きたいんだ。いいだろ、あーん?」
ブフーッ!
紅で染められる前に用意していた傘で防御した。俺自身に血はついていないが、辺りが紅に染まった。
夕日里と言い争うのは疲れる。こいつはなかなかの頑固だからな。だから、わざと耳元でささやいて気絶させた。
「氷帝に来たら、どうなるんだろうな」
これからの学園生活、夕日里と一緒にいれることを嬉しく思う反面、この病に関して珍しく心配な俺であった。