CHARM

□DATE
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この前夕日里を怒らせたため、お詫びのデートをすることにした。場所は遊園地。


「つまんないです」

「は?」


本当はオペラ観劇をして、ショッピングをして、夜景が綺麗に見える場所でディナー、そして同じく夜景が綺麗に見えるホテルで……が良かった。

ただ夕日里の場合、オペラ観劇は寝る。ショッピングよりもコンビニかアニメショップ。夜景を見ずに飯に夢中。ホテルではいいところまではいくと思うが部屋を紅に染め上げることになる。


「何がつまんないんだ、あーん?」

「だって……」


最初のほうは楽しそうにアトラクションに乗っていた夕日里だったが、徐々に笑顔がなくなってきていた。

一体何がいけなかったのか。俺よりも背の低い彼女の顔を上から見ながら、彼女の次の言葉を聞いた。


「だって、全部貸し切りなんですもん!」

「嫌なのか?」


デート中、俺が目を放しているときに夕日里が変な男にからまれたら、いきなり遊園地を襲撃しにきた奴らが現れたら、夕日里が俺の魅力に当てられ回りの人を紅に染め上げられたら……考えるだけでキリがない。


「いっぱい乗りものに乗るのは楽しいですよ」

「じゃあ何が嫌なんだ?」

「私はもっと普通に楽しみたかったです。並んで待ったりしたかったです」

「……これは普通じゃないのか?」

「はい」


この日はそのまま帰り、部屋でのんびりと過ごした。夕日里はアニメを見て笑っていたが、俺の心はモヤモヤしていた。
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