そして悪魔は笑う

□幼馴染の悪魔
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不動峰中学。ここにとある女生徒がいる。


「お、おはよう、雪館さん」

「おはようございます」


彼女の穏やかな挨拶と笑顔は回りの男子だけでなく女子をも魅了する。容姿端麗、成績優秀、お淑やかな大和撫子……まさに高嶺の花ともいえる女子、名前は雪館律歌。不動峰中学の1年生。

そんな彼女に堂々と近付き話せる人物がいる。


「あ、アキラ君」


神尾アキラ。律歌と同じ中学1年生で、彼女の家の隣りに住んでいる幼馴染みだ。


「何の用だよ、律歌」


普段は明るい神尾。しかし何故か律歌にだけ冷たい口調で話す。いや、冷たいというよりは警戒しているような感じだ。


「実は昨日、母とマフィンを作ったの」


神尾は登校する前に、たまたま会った律歌の母にマフィンを彼女から貰うよう言われた。


「で、これがアキラ君の分」


渡された包みを開けると、何とも甘い匂いがする。見ればチョコチップがちりばめられているマフィンだ。


「美味そうだな」

「見た目はね」

「ありがとな」


ただ、このマフィンが後に神尾に対して悲劇を招くことになる。

昼休みを終え、授業が始まる。


ぐぎゅるるる


(腹が痛ぇ〜!!)


授業中、神尾はお腹を押さえながらうずくまっていた。


「大丈夫か、神尾。冷や汗がスゴいぞ」


友人から心配され、大丈夫と返すが、本当は大丈夫ではない。神尾の我慢は限界だった。
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