そして悪魔は笑う
□幼馴染の悪魔
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「先生、神尾君の気分が悪そうです」
「そうなのか?神尾、保健室に行ってこい」
「す、すみません……」
心配のあまり、先生に報告した友人を心の中で感謝しながら席を立ち上がる。そして、教室を出てからダッシュで目的地へと向かった。
(考えられるのはあいつのマフィンか!)
その目的地は保健室ではなく男子トイレ。
神尾は個室に入り用をたす。ビッグウェーブの如く迫りくる腹痛と下痢に奮闘した。
(母親と一緒に作ったって言ってたから油断してた……!)
「アキラ」
涼やかに彼を呼ぶ声は、女子のやや高めの声。ここは男子トイレであるが、現在授業中のため他に人はいない。
「その声は律歌か!?」
「当たり。どう、気分は?」
律歌の穏やかではあるが、どこか悪戯めいた声に神尾は怒りをあらわにする。
「気分はって、最高なわけねぇだろ!まだ腹が痛ぇし!」
「へぇ、それは凄い効き目ね。この下剤」
律歌は下剤を見せつけるように取り出すが、扉一枚隔てているため神尾にはわからない。
「お前は俺に何の恨みがある!?」
「ないよ」
「はぁ?」
「私はただ、趣味と実験を兼ねて暇つぶしをしているの」
律歌には神尾に対しての罪悪感は微塵にも感じていないようだ。
「その相手を俺にするな!」
「だって、アキラの反応が楽しいんだもの」