そして悪魔は笑う

□悪魔は見ている
1ページ/7ページ


昼休み。神尾は同じテニス部の桜井と外で昼食を食べていた。


「神尾って雪館さんと付き合ってんの?」


ブーッ!


唐突すぎた桜井の質問に、口に含んだ牛乳を神尾は吹き出した。


「うわっ、汚ねぇ!」

「わ、悪い……」


吹いた牛乳が誰にもかからなかったことが唯一の救いである。


「てか、いきなりなんて質問しやがる!?」

「違うのか?この前、2人で手つないで帰ってたし」


それは神尾にとっては、思い出したくないことであった。
2度にわたる強力下剤の服用。内1つは自滅によるものである。


「で、付き合ってるのか?」

「付き合ってねぇし、付き合う気もねぇよ」

「なんでだよ!?あんな非の打ちどころがない子、なかなかいないんだぞ!」


そう、桜井や他の人にとっては、律歌はとても憧れる存在であるだろう。しかし、幼馴染みである神尾にとっては違う。


「みんな、あいつの外面に騙されてんだよ。いいか……あいつの本性は悪魔だ!」


今まで律歌からされた仕打ちを思い出しながら、神尾は思いをぶつけるような感じで言った。


「雪館さんが悪魔なら、世の中の女子は全員、大魔王だな」


やはり律歌のイメージが良過ぎるのか、信じてもらえない。
神尾は今まで自分があってきた被害を話すことにした。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ