そして悪魔は笑う
□悪魔は見ている
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昼休み。神尾は同じテニス部の桜井と外で昼食を食べていた。
「神尾って雪館さんと付き合ってんの?」
ブーッ!
唐突すぎた桜井の質問に、口に含んだ牛乳を神尾は吹き出した。
「うわっ、汚ねぇ!」
「わ、悪い……」
吹いた牛乳が誰にもかからなかったことが唯一の救いである。
「てか、いきなりなんて質問しやがる!?」
「違うのか?この前、2人で手つないで帰ってたし」
それは神尾にとっては、思い出したくないことであった。
2度にわたる強力下剤の服用。内1つは自滅によるものである。
「で、付き合ってるのか?」
「付き合ってねぇし、付き合う気もねぇよ」
「なんでだよ!?あんな非の打ちどころがない子、なかなかいないんだぞ!」
そう、桜井や他の人にとっては、律歌はとても憧れる存在であるだろう。しかし、幼馴染みである神尾にとっては違う。
「みんな、あいつの外面に騙されてんだよ。いいか……あいつの本性は悪魔だ!」
今まで律歌からされた仕打ちを思い出しながら、神尾は思いをぶつけるような感じで言った。
「雪館さんが悪魔なら、世の中の女子は全員、大魔王だな」
やはり律歌のイメージが良過ぎるのか、信じてもらえない。
神尾は今まで自分があってきた被害を話すことにした。