そして悪魔は笑う
□始動
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(つまらないわ……)
昼休み。廊下を歩く1人の女生徒。彼女は雪館律歌。異性だけでなく同性からも憧れの目で見られる彼女は、中学1年生でありながら、かなりのオーラを醸し出している。
(今度は何でアキラに悪戯しようかな……)
表の顔はとても素晴らしい女子なのだが、裏の顔は悪魔のような女子である。そしてそのことを知っているのは、彼女の幼馴染である神尾アキラ、ただ1人。
(なんか、面白いこと起きないかな……)
内心ではそう思っていても、外見ではそんな素振りを見せるスキを与えない。
そんな彼女が校舎内で角を曲がろうとした。
ドンッ
「きゃっ!?」
「おっと」
互いに歩いていたから大惨事にはならなかったものの、ぶつかった拍子に律歌は後ろへと体勢を崩してしまいそうになった。そのところをぶつかった男子生徒に手を引かれ、彼の胸へと寄りかかる。
「大丈夫か?ケガはないか?」
「ええ。大丈夫です」
律歌はそう言いながら、ぶつかった相手の顔を見た。
(……だ、大仏……?)
「ん?俺の顔に何かついているか?」
「いえ……あの、そろそろ身体を放してはもらえないでしょうか?」
「あ、す、すまない!」
いつの間にか彼女の背に回していた手を放してもらう。
心の中では失礼なことを思っている律歌だが、もちろんそんな風に思った素振りは見せない。そして、あたふたする相手の様子を見て笑った。