そして悪魔は笑う

□不吉な予感
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「でも、雪館さんはどう思っているかわからないだろ」


神尾は律歌との関係を誤解されることは多々ある。彼自身は彼女のことをただの幼馴染と思っているのだが、彼女はどう思っているか、神尾は知らない。

だが、日頃の行い(2度も下剤飲ませたり、辞書のエログロ単語にアンダーラインを引いたり、ガムパッチンなど)から見て、律歌も自分のことは幼馴染、悪くて悪戯するのに都合のいい人物だろう、そう神尾は考えた。


「あいつも俺のことは幼馴染って思ってるよ」


神尾はそう言いながら、ジュースのストローに口をつけた。


「……なにカッコつけながら言ってんの?自分のことカッコいいとでも思ってんの?鏡見る?」

「お前、それは言い過ぎだろ……」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「それにしてもよ……」


ファーストフード店を出て、神尾と伊武は同じ帰り道を歩いていた。ふと、神尾が口を開く。


「せっかく新テニス部となったんだから、マネージャーとか募集したいよな」

「マネージャーか……杏ちゃんは女テニだから無理だよ」

「わかってるよ。別に杏ちゃんじゃなくても、真面目な奴なら歓迎だ」

「……雪館さんとか」


伊武が律歌の名字を口にしたときだった。


ブチッ(首にかけていたお守りの紐が切れた音)

カッ(お守りが地面に落ちた音)

バキッ(神尾がお守りを踏んだ音)


伊武が律歌の名字を言った瞬間、神尾の持っているお守りの紐が切れ、地面に落ちた。そしてそのまま神尾がお守りを踏んでしまったが、ただのお守りにしては聞きなれない音が神尾には聞こえた。
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