そして悪魔は笑う

□神尾VS悪魔
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(……頭から離れない)


律歌はベッドで寝転がっていた。そして、今日の出来事を思い返しては赤面し、掛布に顔を埋めた。


(ありえない……)


橘が自分のために怒り守ってくれた。震える自分を落ち着かせるために抱きしめてくれた。それらが頭の中を繰り返しながれていた。


(好き、なのかな……橘先輩のこと……)


そう思えば、律歌は再び赤面し、掛布に顔を埋めるといった一連の動作を繰り返した。


ガチャ


部屋の扉が開く音がしたため、律歌は埋めていた顔を上げ、扉の方を見て開けた人物を確認した。


「どしたの、アキラ」

「どしたの、じゃねーよ!ここは俺の部屋だ!」

「それくらい知ってるわよ」

「知ってたらなんでお前がここにいるんだよ!」


そう、神尾の言った通り、ここは彼の部屋であって律歌の部屋ではない。彼女は下校後、一度自分の家へ余計な荷物を置いてからお隣の神尾家に来たのであった。しかし、彼は入浴中だったらしく、部屋で待たせてもらっていた。


「実は、アキラに話聞いてもらいに来たんだ」

「話?」

「うん。自分でも信じられないんだけど」


神尾は椅子に座り、律歌の話を聞こうとした。彼女に対し苦手意識を持っているが、幼馴染だからだろうか。放っておけないところがあるのだろう。


「私、恋した。橘先輩に」

「………………………………………………………………………………は?」


こい、コイ、鯉、故意…………。

神尾には律歌の言っていることが認識できなかった。幼馴染ではあるが、こういった話を互いにしたことがなかったからだ。そもそも彼女自身が恋愛に興味がないと神尾は思っていたからだ。


「…………もう1回言ってくれ」

「だから、橘先輩のことが好きになったかも、しれないの……」


律歌は頬を赤くしながら、最後のほうの言葉は普段では見られない自信のないほどの小さな声だった。

幼馴染だからわかる。神尾は思った、これは本気だと。


「橘さんをお前の毒牙にかけてたまるか!」

「毒牙ってなによ。純粋に好きなんだから応援してくれたっていいじゃない」

「何年お前の幼馴染をやってると思ってんだよ。俺はお前の性悪なところを知ってんだよ」


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