そして悪魔は笑う

□神尾VS悪魔
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◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





それは約1年前、神尾、律歌がともに6年生の時の話である。6年生になると私立か国公立の中学に行くか悩みどころであった。


『なぁ、神尾。雪館さんがどこの中学に行くか知ってるか?』


そう神尾に聞いてきたのは彼と同じクラスの佐藤である。見た目・性格良し、勉強もでき、運動神経も抜群で彼を好きになる女子は多い。


『またその質問かよ……たしか私立を受験するとか言ってたな。どこかはわかんねぇけど』

『本当か!神尾、お願いだからどこの私立を受験するか聞いてきてくれよ。頼む!』

『まぁ、いいけどよ』


そして神尾が律歌に聞くと、


『青春学園とか受けるよ』


そう言っていたので、神尾は佐藤にそう伝えた。また、他にも2人ほど佐藤同様に聞いてきた奴がいたため、神尾はそう教えておいたのであった。

その後、神尾は律歌から青春学園合格の話を聞いた。

そして、不動峰中学校入学式。


『アキラ!』

『……律歌!?お前、どうしてここに?青学受かって行く予定だったんじゃ』

『青学?……あぁ、行こうと思ったんだけど、なんとなく気が変わって不動峰にしたの。これからもよろしくね、アキラ』





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「俺はあれ以来、青学にいる3人に恨まれてんだぞ」

「それはその男たちが私のことについてよく理解していなかったから。それでアキラを恨むなんて心の狭い男子ね」

「とにかく、お前のようにすぐ気が変わるような奴と橘さんは合わない!やめておけ」

「いや。それに橘先輩は特別なの」


律歌はニコニコと微笑みながら言った。


「最初はわからなかったけど、確信したの。初めて会ったときに今までにない胸の高鳴り……私は感じた。そして今日、彼に抱きしめられたことにより、私の恋は芽生えたの!」

「むしろ枯れてしまえ」

「酷いこと言うわね。アキラのくせに」

「とにかく、橘さんはダメだ!」

「嫌。私は橘先輩が好き。これだけは変えられない」

「なら、俺はとことん妨害してやる!お前を橘さんに近づけさせるもんか!」

「やれるものならやってみれば?あんたが私に勝ったことなんて足の速さくらいでしょ」


2人は言い争いをしている最中に、戦いの火蓋は切られたのであった。

翌日から神尾は攻撃を仕掛けてきた。


「みなさん、休憩です。ドリンクをどうぞ」


律歌が休憩時に持ってきたドリンクは、いつも彼女が一人一人に配っていく。だが、今回はちょっと違った。


「律歌、俺が橘さんに持っていく」

「え?」

「いいだろ?お前も手間が省けて楽だし」

「そ、そうね。じゃあ、よろしくね、アキラ君」

「おう!」


そう言ってアキラは橘の分のドリンクを持って彼のところへ行ってしまった。そんな彼の行動に律歌は他のメンバーにドリンクを配りながら、少し考えていた。
また、それだけではない。律歌と橘が話しているところに必ず神尾は現れるのだ。
それは周りから見ても“ウザい”と思えるほどに。


「また、神尾、橘さんと雪館さんのところに行ってるよ」

「それだけ雪館さんが好きなんだろうなぁ」

「橘さんに取られると思ってんのかな?」

「ていうか、神尾って橘さんの妹の杏ちゃんが好きだったんじゃ」

「両方好きなんだろ……二股なんて最低だな……二兎追うもの一兎も得ず、ていうから両方フラれると思うけど。橘さんとアキラだったら雪館さんはどっちと付き合うと思う?」

「「「橘さん」」」

「だよなぁ……」


石田、内村、森、桜井、伊武の5人は神尾の行動に勘違いをするほどであった。
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