僕らの学校
□じゅんび室のおばけ
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庭球小学校の授業は各教科にいろいろな先生が担当します。
今日は社会の授業があります。この日の担当は宍戸亮先生です。
「あれ?」
「どうしたの、つぐみちゃん」
「鳳くん……教科書、まちがえて持ってきちゃった」
今日の授業は地理でしたが、持ってきたのは歴史の教科書です。
「他のクラスに借りにいってくる」
「今日って他のクラスに地理の授業はなかったはずだよ」
「うそ!どうしよう……」
「正直に宍戸先生に話しなよ。きっとゆるしてくれるよ」
鳳くんの言うことはもっともなので、私は宍戸先生の元へと向かうことにしました。鳳くんもついてきてくれるようです。
授業前の先生の多くは、各教科じゅんび室にいます。でも、全ての教科にじゅんび室があるわけではありません。
中に入るため、社会科じゅんび室をノックして入ります。
コンコン
「「失礼しまーす……」」
社会科じゅんび室はなぜかうす暗くて、エアコンもついていないのにヒンヤリとした冷たさを感じました。
ちょっと怖いですが、私と鳳くんは1歩1歩進んでいきます。
「何の用さぁ?」
後ろから声が聞こえたので、ちょっとドキッとしましたが、誰か先生だと思って2人でゆっくりふりかえりました。
「「………ぎゃぁぁぁあぁ!?」」
急にあらわれた怖い顔に、私と鳳くんは叫んで、走って社会科じゅんび室から逃げました。
あれはたぶん、おばけにちがいありません。怖くてなみだが出てきました。
必死にろうかを走っていると……
「こら、廊下を走ってはアカン」
前から歩いてきたのは石田鉄くんのお兄さんで社会科担当の石田銀先生に注意されました。
石田先生の見た目はお坊さんに見えます。