僕らの学校
□カブトムシ
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先生はあきらめたかのように黒ばんに書いていきました。こん虫は他にチョウ、バッタ、セミなどがいるそうです。
そして、授業がおわりに近づいたころ、
「実は、今日はみんなに“プレゼント”を持ってきただーね」
「「「「「おおーっ!」」」」」
先生の一言にみんながよろこびました。いったい何がもらえるのでしょうか。私としてはゆうえんち無料入場けんパスポート付がいいです。でも、理科の授業だからカブトムシくらいでガマンします。
先生はとあるものを教卓の上におきました。
「はい、“アオムシ”だーね」
(((((そこはカブトムシでしょ……)))))
とあるものとは虫カゴ。中は何まいかのキャベツにアオムシが1匹います。
「エサは理科室前の花壇にキャベツが植えてあるから、毎日葉を取りにくるだーね」
「「「「「…………」」」」」
「じゃあ、授業を終えるだーね。日直は号令をかけるだーね」
「……きりつ」
樺地くんの号令にみんなが立ち上がりました。
「きをつけ……礼」
柳沢先生が教室から出ていってから、残された虫カゴ。そのアオムシ。
「と、とりあえず、名前でもつけようか」
教卓に近い席にすわる金田くんだけが、アオムシのそばに寄りました。
「キャタピーでええやん。成長するにつれてトランセル、バタフリー」
「ついでに金田がお世話係ね」
「えっ、ぼく!?」
「「「「「異議なーし」」」」」
ぜんざいくんと伊武くんによってアオムシの名前とお世話係が決定しました。
キャタピーが元気に成長するのを願いながら、金田くんに任せようと思います。
「がんばってね、金田くん」
「え、だれも手伝ってくれないの……?」
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