そんな彼女と学園祭!
□8月20日(土)
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今日から合同学園祭での運営委員としての初仕事。といっても、今日は詳細やスケジュールなどを話して終了となる。
そんな私は今、走っている。
「ちーこーくー!」
お昼ごはん用のお弁当を作りながら蓮二さんの喜ぶ姿を想像していたら、家を出ないと乗車予定の電車に乗り遅れる時間だった。
全速力で走って最寄りの駅へと向かう。
だが、残念ながら電車には間に合わず、次の電車に乗って合同学園祭開催地からの最寄り駅に到着。再び、全速力で走って目的地の会場へと向かう。
(あ、あの建物かな)
見えてきた立派な会場。さすが、アホベ先輩と榊ポマードが共同出資しただけのことはある。会場まで辿りつけば、今回の合同学園祭の規模が凄まじいことを思い知らされた。
なんとか遅刻ギリギリに着きそうなので走るのをやめて歩くことに。歩きながらずっと走っていたための荒い呼吸を落ち着かせる。
(金持ちのやることは理解が計り知れないな……)
「ねぇ」
会場内に入ろうとした時、背の低い少年に声をかけられ足を止めた。岳人先輩よりも小さい。
「ハンカチ、落としたよ。あんたのでしょ?」
少年の手を見れば見覚えのある薄ピンクのハンカチが。少年の言う通り、私のだ。
「あ、ごめんなさい。拾ってくれてありがとう」
「どういたしまして」
たぶん1年生。四天宝寺中学校にいる金ちゃんとは全く違うタイプで、クールな子。
「ねぇ、青学の会議室ってどこか知ってる?」
「えーと……入り口から階段上がって」
「案内してくれない?」
「うん、いいよ」
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