そんな彼女と学園祭!
□8月20日(土)
2ページ/7ページ
会場入り口から会議室まで。
「…………」
「…………」
2人並んでではなく少年が後ろからついてくる形で歩いていた。
微妙な距離感と初対面という関係であるからか、一切会話はなかった。
だからか、会議室に着くまでの距離が長く感じられた。
「ここだよ」
「ありがと」
「どういたしまして。じゃあね」
そこから立ち去ろうとしたら袖のところを引っ張られ、また足が止まった。
「あんた、氷帝の人だよね」
「そうだけど」
「ふーん……またね」
「?……またね」
少年が何を言いたかったのかはよくわからないが、時計を見たらミーティング1分前だったので慌てて氷帝の会議室へと向かった。
「おはようございます」
氷帝がミーティングを行う会議室に入れば、鳳君と滝先輩とジロー先輩以外が驚いていた。ジロー先輩は寝ている。
「なななななんで、藤子ちゃんがここにおんねん!?」
「なんでって不本意ながらもテニス部担当の運営委員ですから」
「男だらけのむさ苦しい空間やなと思ってたけど、藤子ちゃんが来ただけで空気が綺麗になったわ」
眼鏡先輩の鼻息が荒い。
お願いだから近づかないでほしい。手がグーになりそうだ。
でも、前に滝先輩に「セクハラと思ったら殴るんだよ」と言われているため、極力我慢している。
「どうせ、跡部が勝手に決めたんだろ」
「正解です」
「藤子も大変だよなぁ」
宍戸先輩と岳人先輩から頑張れよ、と声をかけられた。お前も大変だな的な目で見られるのにはもう慣れた。
眼鏡先輩のセクハラをかわしながら談笑していると、アホベ先輩が樺地君を引き連れてやってきた。
「よぉ、藤子」
「おはよう、ございます……」
「おはよ、樺地君」
「フッ……相変わらずの照れ屋だな」
アホベ先輩に対しては空気のように扱えばいい。これは宍戸先輩から教えてもらったことである。
ミーティングが始まりそうなので、私は日吉君の隣の席に座った。彼は相変わらずのキノコだ。
「お前、すごく失礼なこと考えてないか?」
「え、全然」
「そうか……」
時々、日吉君はよくわからないことを言ってくる。彼がキノコなのは周知の事実なので失礼なことではない。