そんな彼女と学園祭!

□8月20日(土)
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会場入り口から会議室まで。


「…………」

「…………」


2人並んでではなく少年が後ろからついてくる形で歩いていた。
微妙な距離感と初対面という関係であるからか、一切会話はなかった。

だからか、会議室に着くまでの距離が長く感じられた。


「ここだよ」

「ありがと」

「どういたしまして。じゃあね」


そこから立ち去ろうとしたら袖のところを引っ張られ、また足が止まった。


「あんた、氷帝の人だよね」

「そうだけど」

「ふーん……またね」

「?……またね」


少年が何を言いたかったのかはよくわからないが、時計を見たらミーティング1分前だったので慌てて氷帝の会議室へと向かった。


「おはようございます」


氷帝がミーティングを行う会議室に入れば、鳳君と滝先輩とジロー先輩以外が驚いていた。ジロー先輩は寝ている。


「なななななんで、藤子ちゃんがここにおんねん!?」

「なんでって不本意ながらもテニス部担当の運営委員ですから」

「男だらけのむさ苦しい空間やなと思ってたけど、藤子ちゃんが来ただけで空気が綺麗になったわ」


眼鏡先輩の鼻息が荒い。
お願いだから近づかないでほしい。手がグーになりそうだ。
でも、前に滝先輩に「セクハラと思ったら殴るんだよ」と言われているため、極力我慢している。


「どうせ、跡部が勝手に決めたんだろ」

「正解です」

「藤子も大変だよなぁ」


宍戸先輩と岳人先輩から頑張れよ、と声をかけられた。お前も大変だな的な目で見られるのにはもう慣れた。

眼鏡先輩のセクハラをかわしながら談笑していると、アホベ先輩が樺地君を引き連れてやってきた。


「よぉ、藤子」

「おはよう、ございます……」

「おはよ、樺地君」

「フッ……相変わらずの照れ屋だな」


アホベ先輩に対しては空気のように扱えばいい。これは宍戸先輩から教えてもらったことである。

ミーティングが始まりそうなので、私は日吉君の隣の席に座った。彼は相変わらずのキノコだ。


「お前、すごく失礼なこと考えてないか?」

「え、全然」

「そうか……」


時々、日吉君はよくわからないことを言ってくる。彼がキノコなのは周知の事実なので失礼なことではない。
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