そんな彼女と学園祭!

□8月21日(日)
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今日は8月21日。明日から本格的に学園祭の準備が始まる。テニスの練習時間が短くなるのが嫌だ。そして面倒臭いから嫌だ。

それでも、すでに決定事項であるため仕方がない。

そして本格的に学園祭の準備が始まる前日である今日、とある一部のファンが待望していたイベントがある。



《『四人の強者〜氷牙の涙〜』本日発売!》



『四人の強者』とは、“大人気”歴史創作小説である。主人公の鉄龍斎と仲間たちが雪乃姫を護る話であり、今回の『氷牙の涙』を含め4巻刊行しており、1巻の『焔の城』に関しては映画化して“大ヒット”。2巻の『届かない音色』も映画製作を決定している。

そして俺は『四人の強者』のファンである。
今日の俺の予定は『氷牙の涙』を購入した後、家に帰って読破する。そして良かったところを手紙に書いて作者に送る。そのあともう一度読破するといった流れだ。

そんなわけで俺は行きつけの私営の本屋に来ている。
目的である小説コーナーに行けば平積みにしているところに『四人の強者』の宣伝文が書かれてあり、その傍には神々しいオーラを放つ『氷牙の涙』が置いてある。

俺は3つに分けて積まれている本の中から、間に積まれている箇所の上から3番目にある本を取ろうと手を伸ばした。


「「「…………」」」


手を伸ばしたのは良かったが、俺と同じように他にも手を伸ばしてきた人が2人もいて、手の動きを止めた。同様にその2人も手の動きを止める。

とりあえず、どんな人かと顔を見てみた。


「……服部と亜久津さん」

「あ、日吉君だ」

「チッ……」


3人とも手を伸ばしながらも動きは止めたまま、顔は見合わせたままだ。

言葉も発さないままでいると、


「亜久津、本はあった?……って、氷帝の日吉と藤子ちゃん、それに立海の柳」

「藤子、読みたい本は……氷帝の日吉と山吹中の亜久津、それに青学の河村」


それぞれ連れもいたようで、亜久津さんサイドには河村さん、服部サイドには柳さんがやってきた。


「テメェら……俺は真ん中に積まれている上から3番目の『四人の強者〜氷牙の涙〜』に用があるんだ。その手引っ込めな」


亜久津さんが迫力ある睨みをしながら言ってくる。
年上であるし、ここで引かなかったら面倒に巻き込まれるだろうと思って、俺は手を引っ込めた。

だが、服部は引かない。
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