そんな彼女と学園祭!
□8月22日(月)
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〈朝〉
今日は朝からミーティング。各学校、それぞれの会議室でどんな模擬店を出すか話し合う予定だった。
「俺の提案する喫茶店を出店するしかねぇ」
一体、どこからその自信が出てくるのか。さすがはアホベ様といったところ。
しかも完成予想図まですでにできているとは、彼はこれがやりたくて合同学園祭を企画したとしか思えない。
さらにメニューは1000円以下のものをおかないという庶民に優しくないものであり、樺地君が三ツ星シェフの技を覚えて頑張って作るそう。
「樺地君、今度レシピ教えて」
「ウス」
会議中ではあったが、小声で樺地君に約束を取りつけた。だって、蓮二さんのために作りたいから。
「どうだ、藤子。俺様提案の喫茶店は?」
「あー……良いんじゃないですか」
「フッ、だろうな。なにせ、俺様が考えたものだからな」
とりあえず、ホワイトボードに書き込んだ。喫茶『世間離れ』。
「学園祭っちゅうんはもっと庶民的なもんやろ。俺は別の模擬店がええな」
「俺もそー思うぜ。侑士の意見に賛成だな」
このまま喫茶店になってしまうのかというところで異議を唱えたのが眼鏡先輩と岳人先輩。そして提案された模擬店がたこ焼き屋。とても庶民的。
「藤子ちゃん、俺がめっちゃ美味なたこ焼き作ってあーんで食べさせたるわ」
「あーんはいらないです」
でも、関西出身の人が作ったたこ焼きは食べてみたい。美味しそうだ。
とりあえず、ホワイトボードに書き込んだ。たこ焼き『庶民派』。
そしてこのあと、どちらの模擬店に参加するかを決め、
喫茶店
アホベ先輩、宍戸先輩、鳳君、樺地君、ジロー先輩
たこ焼き屋
眼鏡先輩、岳人先輩、日吉君
となった。
ミーティングが終わり、報告しに行こうとしたところ、
「藤子、話がある。委員会本部に来てくれ」
と、アホベ先輩に言われた。
本来ならスルーするのだが、テニス部担当の運営委員になってしまった以上、合同学園祭に関する内容であったら無視はできない。