日吉君の隣の席の彼女

□#15
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「やったよ、日吉君」

「何がだ?」

「テスト。1位かもしれない」


テスト終了後、服部が真っ先に俺に言った言葉だった。










氷帝学園のテスト。上位者は点数と共に掲示板に張り出される。

張り紙の前では人が集結していた。そして生徒達が口々に言っている。


「今回の1位は服部藤子か」

「才色兼備とは彼女にふさわしい言葉だな」


服部は見事に有言実行を果たした。恋の力が働いたのだろう。

俺は順位表を簡単に見てから教室に戻った。


「1位、おめでとう」

「ありがとう」


服部は目を雑誌“月間格闘技”に向けたまま言った。しかし、口元が弧を描いており、ご機嫌だった。


「今日、柳さんに報告する」

「そうか」

「テスト期間でろくにメールしてないんだ」


だからこんなに嬉しそうなのか。さすが恋の力。


「それより、次、音楽だよ」

「……そういえば」


俺は今から服部に残念なお知らせをしなければならない。

急に何かを思い出した俺に、服部は目線を俺に向けてきた。





「今日は歌のテストがあるぞ」
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