日吉君の隣の席の彼女
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天気予報とは所詮予報なのだ。だから、天気予報士に文句は言えない。
ただ、予報を外すのならその予報を電波に乗せて発信しないで欲しい。
そうすれば、こんな状態にはならなかったはずだ。
「日吉が傘持っといてくれて助かったわ〜」
誰が悲しくて眼鏡なんかと一緒に傘なんか入らなきゃいけないんだ。
さっきから肩に雨はかかるし、女子の好奇な視線を感じて不満が募っていた。
何故、こんなふうになったか。話は数分前にさかのぼる。
『雨か……』
雨が降っても、俺は折りたたみ傘を持っているので大丈夫だ。
濡れながら帰ろうとする人たちを哀れに思い、俺は帰ることにした。
『あ、日吉やん』
『忍足先輩』
『今から帰るとこ?』
『そうですが……』
『傘持っとんな。ええ子や』
気持ち悪い。
それから先輩命令とかなんとかで一緒に帰ることに。
あのとき、断っておけばよかったか?それよりも逃げればよかったのか……?