日吉君の隣の席の彼女
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「金がねぇ」
「何でそれを俺に言うんですか?」
俺は今部室で向日先輩と話していた。というより、向こうから一方的に。
「何か楽して稼げることって無いの?」
「俺に言われても困ります」
「中学生じゃバイトできねぇしよ……」
「家の手伝いでもすればいいじゃないですか?」
「親父はケチだから少ししかくれねぇの」
そんな感じで話していると、鳳がやってきた。
「あ、向日先輩に日吉」
「お前、髪濡れてるぞ」
「さっきの授業、体育でプール使ったから」
「それだ!」
「え?」
いきなり叫んだ向日先輩。そしてどこかに走り去っていった。
「何だったんだろう?」
「さぁ?」
次の日、向日先輩は俺のクラスへ足を運んでいた。そして俺と服部にある一枚の紙を見せた。
「じゃーん!これを見ろ!」
「……屋内プール貸切使用許可書」
「今度の土曜日10時から2時間。参加者は俺と宍戸と鳳とジローと滝と日吉と藤子の7人な。それから藤子はスクール水着以外の水着で来いよ」
いつの間にか参加決定となっていた。ついでに向日先輩の企みもわかった。
どうやら、この人は服部の水着写真を誰かに売るつもりだ。アホベとか眼鏡とかG(太郎)とかに。
向日さんはそれだけを伝え終えると、さっさと帰ってしまった。
「絶対、行かないと駄目かな?」
「行かなかったら、またうるさく言ってくるぞ」
「そうだね」
タイミングを計ったわけでもないのに、同時に溜息をついた。