日吉君の隣の席の彼女

□#21
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「金がねぇ」

「何でそれを俺に言うんですか?」


俺は今部室で向日先輩と話していた。というより、向こうから一方的に。


「何か楽して稼げることって無いの?」

「俺に言われても困ります」

「中学生じゃバイトできねぇしよ……」

「家の手伝いでもすればいいじゃないですか?」

「親父はケチだから少ししかくれねぇの」


そんな感じで話していると、鳳がやってきた。


「あ、向日先輩に日吉」

「お前、髪濡れてるぞ」

「さっきの授業、体育でプール使ったから」

「それだ!」

「え?」


いきなり叫んだ向日先輩。そしてどこかに走り去っていった。


「何だったんだろう?」

「さぁ?」


次の日、向日先輩は俺のクラスへ足を運んでいた。そして俺と服部にある一枚の紙を見せた。


「じゃーん!これを見ろ!」

「……屋内プール貸切使用許可書」

「今度の土曜日10時から2時間。参加者は俺と宍戸と鳳とジローと滝と日吉と藤子の7人な。それから藤子はスクール水着以外の水着で来いよ」


いつの間にか参加決定となっていた。ついでに向日先輩の企みもわかった。

どうやら、この人は服部の水着写真を誰かに売るつもりだ。アホベとか眼鏡とかG(太郎)とかに。

向日さんはそれだけを伝え終えると、さっさと帰ってしまった。


「絶対、行かないと駄目かな?」

「行かなかったら、またうるさく言ってくるぞ」

「そうだね」


タイミングを計ったわけでもないのに、同時に溜息をついた。
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