日吉君の隣の席の彼女
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今日から夏休み、そして合同合宿だ。
目的地まではバスで移動する。朝の集合は6時30分、氷帝学園の門付近だ。
「おはようございます」
「日吉か……残りは岳人とジローと藤子か」
バス内での席はどこでもいいので、俺はなるべく人と係わらない席にした。
集合時間まであと3分。
ふと窓の外を見たら、赤髪のおかっぱと金髪のクルクルと黒髪のサラサラストレートが目に入った。
黒髪が金髪を背負っていて、赤髪が後ろにいるその2人をときどき見ながらピョンピョン跳ねている。
その3人はバスに乗り込んできた。
「おはよっ!遅刻してねぇよな」
「ギリギリだ」
アホベは少し不機嫌そうに言った。服部が向日先輩と芥川先輩と一緒に来たからだろう。
「おはよう、藤子。今日も美しいな」
「……おはようございます」
アホベの挨拶に面倒くさそうに返す服部。一応、相手は年上であるため、礼儀として挨拶したのだろう。
「Zzz……」
「起きてくださいよ、ジロー先輩」
「藤子ちゃん、おはようさん!俺の隣空けておいたで〜」
「だそうですよ、岳人先輩」
「しょうがねぇなぁ……」
「お前ちゃうわ!藤子ちゃんに言うたんや!」
眼鏡がいろいろとうるさいが、向日先輩は眼鏡の隣へ。服部はジロー先輩を連れて俺に近い席に座った。