日吉君の隣の席の彼女
□#26
2ページ/5ページ
さて、次の日。
『朝弱いから起こしてほしいんだけど……駄目かな?』
『ハァ……仕方ないな』
『ありがとう』
ここの合宿場はオートロックとかそういうものではない。各自が鍵を持って行動する。
昨日の夜、服部は俺に朝起こしてほしいと頼みごとをしてきた。そして中に入れるよう俺は鍵を受け取っていた。
起床は6時30分。その1時間前に起きた俺は顔を洗ったり、古武術の型をとったりした。
コンコン
「服部、起きているか?」
返事がない。鍵を使って中に入った。
俺たちの部屋とあまり変わらない部屋。ベッドが膨らんでいて服部がそこにいることがわかる。顔を覗き込めばスヤスヤと気持ちよさそうに寝ている。
「服部、時間だ。起きろ」
「………」
だが、スースーと寝息をたてるだけで、なかなか彼女は起きない。
仕方がないので、俺は掛け布団を剥がした。
「………」
「ん……なんや、もう朝なん?」
服部……と一緒に寝ていたらしい遠山が起きた。遠山は半目な状態で服部の身体を揺らす。
「姉ちゃん、朝やで〜」
「……う〜ん、あと5分……」
「起きろ、服部」
「ん〜……」
服部は目を開けてボーっと一点……俺を見る。
「……え、キノコ?」
「日吉だ」
.