日吉君の隣の席の彼女
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合同合宿の3日目……というよりは2日目まで遡ることになる。
俺はゲーム組に参加していたので、他のチームのことはわからない。
というわけで、今回は2日目の夜に戻り、この人の視点でお送りしたいと思う。
こんにちは、立海大付属中学3年の柳蓮二だ。
2日目の夜はゲーム、美容、その他の選択制で楽しめるようになっている。
俺はデータの整理をしようと思っていたのだが、幸村の有無を言わさない勧めにより、美容組にした。
本当は美容組には行きたくなかった。なぜなら……
「あ、樺地君も美容組にしたの?」
「ウス」
彼女、服部藤子がいるからであった。
昼間、俺の醜い嫉妬により彼女を傷つけた。それを知ったのは…………その、確か……そう、小石山に言われて気づいた。さすが四天宝寺で副部長をやっているだけのことはある…………あれ、副部長だったか……?
とにかく、決まってしまったのはしょうがない。俺は服部との気まずい関係をなんとかしようと思ったのだった。
「姉ちゃん、早よ行こ!」
「待てよ、遠山。藤子は俺と一緒に行くんだよぃ」
まずは服部と2人きりにならないとな……。
俺は簡単に何かを書いた紙を手に持つ。
「丸井」
「何だよ、柳」
「今や!姉ちゃん行くでっ!」
「わっ!」
服部は遠山に引っ張られながら、去っていった。
「あーっ、藤子取られた!」
丸井は怒りを俺にぶつけようと睨んでくるが、痛くも痒くもない。
遠山のほうは何とかなりそうな気がするから、後にしておこう。とりあえず、まずは丸井からだ。