日吉君の隣の席の彼女

□#34
1ページ/7ページ

今日の天気は晴れ。絶好の合同練習日和である。

氷帝テニス部レギュラー+服部を乗せたバスは目的地である千葉県の六角中学校へと向かっていた。


「日吉」

「何だ、鳳?」

「俺、毎回思うんだけど、レギュラー+服部さんなら全員で9人だよね?」

「ああ」

「じゃあ、なんで10人なんだろ?」

「それは俺も毎回思っている。もう気にしないことにした」


バスの中では座席後方で“叩いて被ってじゃんけんぽん”をしている。じゃんけんをして勝てばピコピコハンマーで相手の頭を叩き、負ければ叩かれる前にヘルメットで守るというシンプルなゲームだ。

今までの試合は2戦。1戦目は向日先輩と鳳で……。


『あ、あれは何だー!?』

『えっ、どれですか?』


ピコッ


向日先輩が指で示した方に鳳が振り向き、叩かれた。

2戦目の宍戸先輩と俺の対決は、それなりに良い試合をしたが、俺は負けてしまった。下剋上だ。

そして今から3戦目。眼鏡と服部の対戦だ。


「藤子ちゃん、俺が勝ったら膝枕してぇな」

「……いいですよ」


驚いた。服部が眼鏡の持ちかけた賭けにのるとは。


(いいのか?そんな約束して)

(大丈夫だよ)


最近になって俺は気付いたのだが、服部は勝負事が好きなのかもしれない。格闘技を見ることもやることも。
だから、叩いて被ってじゃんけんぽんも楽しみなのだろう。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ