日吉君の隣の席の彼女
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さて、偶然にも福引で旅行券を当てた5組10人たち。しかも全員が顔見知りという奇跡にも近い偶然が今ここに起きていた。
そんな10人は今……
ヒュンッ、ボスッ
ヒュンッ、ボスッ
服部の投げた枕が柳生さんと鳳を撃破した。
「やはり、藤子はこういうのに強いのぉ」
「ほんまっスね。何もせんでも勝てる気がしますわ〜」
「なにサボっとんねん!」
敵陣から謙也さんの大きい声が聞こえた。
さて、何をやっているかというと、俺と鳳の宿泊する部屋で枕投げ戦争をしているのである。
俺、柳生さん、鳳、柳さん、白石さんのチームと、服部、仁王さん、財前、W忍足のチームに別れて戦っている。
ルールは、身体の急所に当たれば即戦死。戦死した人はその場で倒れ動かないようにする。勝敗は敵の大将を討ち取ればその時点で勝ちとなる。ただ、相手チームの誰が大将であるかはわからない。
すでに鳳と柳生さんが戦死してしまったので、俺達のチームは残り3人となってしまった。しかし、大将が討ち取られたわけではない。うちのチームの大将は俺だ。
「仕方ない。切り札としてとっておいたのだが、使おう」
「はい」
柳さんの意見に俺は同意した。
こういうゲームに強すぎる服部に対して唯一の強敵と思われる男……。
「よし……行け、白石!」
「任せとき!藤子ちゃんの愛の枕攻め、全て受け止めたる!」
白石さんが敵陣に枕一つ持って駆け出していく。俺は白石さんを盾にしながら枕を2つ持って突っ込んでいった。