日吉君の隣の席の彼女
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俺の名前は日吉若。氷帝学園中等部2年生。好きな言葉は“下克上”だ。ついでに好きな食べ物は濡れせんべいだ。
そんな俺の隣の席は学園一の美女と呼ばれる服部藤子である。
『おい、服部藤子!今すぐ生徒会室に来い!俺様が待っている』
授業が終わると同時に放送が流れた。声の主は跡部部長だと喋り方でわかるし、服部以外の女子共が跡部様、跡部様と騒ぎ立てている。うるさい。
しかし、服部は席を立たずにのん気に本を取り出していた。
「行かなくていいのか?」
一応、声をかけてみる。服部の目線は本のまま、
「本当に用事があるのなら自分で来るでしょう」
「そうか」
ある意味、正論を突きつけられ、会話が終わった、と思われた。
「いいの?次、音楽だよ」
音楽、つまり移動教室だ。俺はすっかり忘れていた。すぐに用意をし、音楽室へ向った。
その間も服部は教室で本を読んだままだった。
それは彼女が特別であり、とても気の毒な人だからだ。