日吉君の隣の席の彼女

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「お願い、します……」


樺地が俺のクラスに来た。しかし、用件は俺ではなく俺の隣の席の人物、服部にあった。


「跡部さんは……服部さんを……待って、ます……」


今日も跡部部長は服部を呼び出していた。そして今日も服部は行かなかった。

さすがに跡部部長が可哀想に思った樺地。わざわざここまでやって来て来るように頼んでいるのだった。


「お願い、します……」


樺地が頭を下げる。たかが跡部部長のためにここまで頑張るとは……。


「……わかった。昼休みにでも行くよ」

「ありがとう、ございます……」


まさか服部が折れるとは思わなかった。ま、樺地だからだろうけど。

樺地は俺にも一緒についてくるように頼んできた。理由は服部が暴走した場合、古武術のできる俺が止めるためだ。
面倒臭かったが、やはり樺地だからだろうか。断れない自分がいた。

そして昼休み、俺と服部は昼飯を食べてから生徒会室に来ていた。

中に入れば跡部部長が偉そうに椅子に座っていた。


「よぉ、藤子。待ちくたびれたぜ」


2日前から呼び出しているんだ。そりゃ、待ちくたびれるだろう。


「早めに用件言ってくれませんか?」

「その前に、何故日吉も一緒にいる?」

「服部の暴走を止める役です」

「そんなの……俺様には必要ねぇ。樺地、人払いだ」

「ウス……」


跡部部長は一体何をするつもりだ?


「服部はそれでもいいのか?」

「うん、大丈夫」


俺は樺地と一緒に生徒会室を出た。そのまま扉前にいたのだが、中の声は外に漏れていた。








『やっと2人きりだな』

『だから用件は?』

『そう急かすな。用件は……今からヤることの後で、ゆっくり説明してやる』

『そう、ですか……』








中からはどう考えても危ないムードが漂っている。
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