日吉君の隣の席の彼女

□#3
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『跡部先輩……』

『景吾だ』

『景吾……背中に抱きつきたい』

『フッ……しょうがねぇな……』








これは危険だ。跡部部長が。





ゴスッ!!





中から鈍い音が聞こえたので、樺地と一緒に踏み込めば、跡部先輩にバックドロップを決めた服部の姿があった。

その後、俺も樺地も生徒会室にいる状態で、跡部部長は用件を話した。


「今度のテニス部の合同練習、立海とやる。俺様の美技に酔わせてやるから、絶対来い!」

「嫌」

「何?」

「それが人に頼む態度ですか?」

「……今度のテニス部の合同練習、立海とやります。見に来てくれませんか?」


跡部部長のこんな姿を始めてみた。この人は氷帝テニス部部長のプライドを持っていないのか。こんな人に俺は下克上を挑んでいたのか。

それにしても、跡部部長にここまでさせたのだから、服部も断るわけには……。


「嫌。面倒くさい」


やっぱり、服部は服部。当然の如く断った。

樺地も頼んでいるが、跡部部長とは違って彼女は丁重に断っていた。


「それじゃ、失礼します」

「気が変わったらいつでも言え」


生徒会室をあとにする服部。俺も跡部部長に頭を下げてから、生徒会室を出ていった。

教室に戻り、席に座った。俺の隣には服部がいる。彼女は洋書を読んでいた。

跡部先輩にも靡かない女……そんな女が『合同練習に行く』と言うのはどういう時だろうか……。 

ふと、隣を見れば服部が俺の事を見ていた。


「……何だ?」


そう聞けば、服部は一言。


「キノコの味噌汁が食べたい」

「何故、それを俺に言う?」
.
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