日吉君の隣の席の彼女
□#3
2ページ/2ページ
『跡部先輩……』
『景吾だ』
『景吾……背中に抱きつきたい』
『フッ……しょうがねぇな……』
これは危険だ。跡部部長が。
ゴスッ!!
中から鈍い音が聞こえたので、樺地と一緒に踏み込めば、跡部先輩にバックドロップを決めた服部の姿があった。
その後、俺も樺地も生徒会室にいる状態で、跡部部長は用件を話した。
「今度のテニス部の合同練習、立海とやる。俺様の美技に酔わせてやるから、絶対来い!」
「嫌」
「何?」
「それが人に頼む態度ですか?」
「……今度のテニス部の合同練習、立海とやります。見に来てくれませんか?」
跡部部長のこんな姿を始めてみた。この人は氷帝テニス部部長のプライドを持っていないのか。こんな人に俺は下克上を挑んでいたのか。
それにしても、跡部部長にここまでさせたのだから、服部も断るわけには……。
「嫌。面倒くさい」
やっぱり、服部は服部。当然の如く断った。
樺地も頼んでいるが、跡部部長とは違って彼女は丁重に断っていた。
「それじゃ、失礼します」
「気が変わったらいつでも言え」
生徒会室をあとにする服部。俺も跡部部長に頭を下げてから、生徒会室を出ていった。
教室に戻り、席に座った。俺の隣には服部がいる。彼女は洋書を読んでいた。
跡部先輩にも靡かない女……そんな女が『合同練習に行く』と言うのはどういう時だろうか……。
ふと、隣を見れば服部が俺の事を見ていた。
「……何だ?」
そう聞けば、服部は一言。
「キノコの味噌汁が食べたい」
「何故、それを俺に言う?」
.