日吉君の隣の席の彼女

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さて、今日は学校も部活もない。日課の早朝稽古も終わらせると暇でしょうがない。

別にこのまま家にいてもいいが、時間を無駄にするのは好きではない。



prrrr……



俺の携帯から流れる無機質な呼び出し音。電話だ。

画面には“眼鏡”と記されている。面倒臭いが、部活の連絡だったら困るので出た。





「こんにちは忍足先輩。何か用ですか?」

『今、暇か?』

「暇じゃないです。さようなら」


電話を切った。

本当は暇だったが、なんで俺が眼鏡のために時間を潰さなきゃならないのか。



prrrr……



再び俺の携帯から流れる無機質な呼び出し音。電話だ。

画面には“鳳長太郎”と記されている。面倒臭いが、部活の連絡だったら困るので出た。





『あ、日吉?』

「何のようだ?鳳」

『あのさ、今日って暇かな?終わりかけの映画だけど、チケットを3枚貰ったんだ。見に行かない?』

「ジャンルは?」

『ホラーもの』

「……行く」

『じゃ、1時に駅前で』

「わかった」


電話を切った。

とりあえず、今日の予定は埋まった。
待ち合わせの時刻まで何をして過ごそうか。勉強でもするか、ラケットの素振りでもするか……。



prrrr……



またも俺の携帯から流れる無機質な呼び出し音。電話だ。

画面には“アホベ”と記されている。面倒臭いが、部活の連絡だったら困るので出た。





『俺様だ。今暇か?』


電話を切った。

ついでに、今日だけアホベは着信拒否にしておこう。眼鏡とGのも。

それから俺は予定時刻が近づくまで、勉強をすることにした。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





【AM10:00 駅前】

人が多い。だが、鳳の頭が飛び出ているのでそれを目印に俺は向う。


「あ、日吉」

「よぉ」

「宍戸先輩もいらしたんですか。こんにちは」


そういえば、鳳は“チケットを3枚”と言っていた。宍戸先輩がいるのも納得。


「それじゃ、行くか」


宍戸先輩がそう言い、俺たちは映画館へと足を進めた。

見る映画は『ブラッディ・レポート〜悪夢の時間〜』。少し前に話題となったホラー作品である。俺もいつか見に行こうと思っていたが、すっかり忘れていた。

座席は前から真ん中の列の真ん中辺りにした。終わりかけの映画なのか1番前の3つだけが埋まっていた。
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