日吉君の隣の席の彼女
□#6
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そのあとフードコーナーへ行くと、見覚えのあるメンバーが騒がしくしていた。
「キャラメルポップコーン大盛りとコーラ!あと、からあげ2つ」
「俺もキャラメルポップコーン大盛り!あとオレンジジュースとチュロス2つ」
「私はキャラメルポップコーンと烏龍茶。あと、からあげ」
赤髪のおかっぱ、金色のふわふわした髪、黒髪ロングサラサラストレート……ここからじゃ、後姿しかわからない。
「キャラメルポップコーンLサイズでよろしいですか?」
「だから、大盛りだって!」
「そうだC」
「私は普通の」
あのおかっぱ、ピョンピョン跳ねている。金髪は独特な語尾。
店員が困っているからサイズで答えろよ。
「飲み物のサイズは……」
「当然、大きいの!」
「トイレに行きたくなるから普通のでいいC」
「私も普通のを」
だからS・M・Lのサイズで答えてやれよ。それくらいわかるだろ。
3人で呆然と様子を見ていると、鳳が口を開いた。
「……声、かけなくていいんですか?」
「今は他人のフリしとこうぜ」
「それが賢明な判断ですね」
あの3人がいなくなってから、食べ物を買った。なんか店員さんがやつれていたような気がした。
劇場内へ入って指定席へ。中はやはり一番前しか埋まっていない。そして騒がしい。
「藤子、からあげ貰うぜ」
「何言ってるんですか?自分の分があるでしょ」
「いいじゃねぇか。ケチケチすんな」
「よくないですよ。これは私の分です」
「藤子ちゃん、俺、一つ欲しいC」
「その代わりにチュロス一口ください」
「なんでジローは良くて、俺は駄目なんだよ!」
予想通り、前列には向日先輩、芥川先輩、服部がいた。
「てか、俺らしか客いなくね?」
「そんなことないですよ。さっき足音しましたし」
「本当だ〜。宍戸と鳳と日吉がいる」
芥川先輩が後ろを見ながらそう言うと、向日先輩と服部もこちらを見てきた。
「お、本当じゃん!」
「こんにちは」
「やっぱりお前らだったか。フードコーナーの店員、やつれてたぞ」
宍戸先輩がそう言うが、何のことかわかっていない3人であった。
そんな感じで話していると、徐々に照明が落とされていく。
そして、映画は上映された。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
今はエンドロールが流れている。
映画の内容はそうだな……惨殺シーンが印象的なだけで、内容は普通だな。もう一度見たいというほどまでの作品ではない。
「お、思ったほど、こ、怖くなかったな!」
向日先輩は虚勢を張っているのがバレバレだ。
「トイレで殺されたのを見ると、トイレに行きづらいですね」
「な、何だよ、長太郎。ビビッてんのか?」
明らかに宍戸先輩の方がビビッている。
「ジロー先輩、起きてください」
「Zzz……」
芥川先輩は服部にもたれかかって寝ていた。上映中のいびきの犯人はこの人か。
その後、向日先輩の提案により、服部を除く全員でトイレへと向うのであった。