短編小説
□愛をくれ!
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純平が指差したほうを見た
そこには男が椅子に座っていた
その辺の芸能人に負けないくらい整った顔
高そうなスーツを着こなしている
女子にモテそうな感じだ
「今日、このデパートリニューアルオープンなんだってさ」
「ふ〜ん、あいつは?」
「今人気の華道家だよ」
「あいつが!?」
「ああ。高校生から受賞歴があって天才児。大学を卒業すると同時に家をでて、フラワーアートのスタジオを開設。百人の弟子持ちらしい」
「詳しいんだな」
「今日、テレビでやっていた」
「ふ〜ん」
あいつが華道家かよ
むっつりした表情をしているあいつは、本当に華道家なのか?
「伊吹成一(イブキセイイチ)」
「は?」
「あの人の名前」
「ふん、興味ない」
俺はあいつをみながら純平の話をきいていた
すると
「ッ...!」
伊吹成一ってやつと目があった
あいつは俺のことをじっとみている
「どうした?」
「なんでもない...」
純平の声をかけられ視線をそらした
「もう行こう」
「ああ」
無理やり純平をひっぱりそこから離れようとした