雷神様と百鬼夜行!
□雷神様と陰陽師
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「京都から来ました。花開院といいます。
フルネームは…花開院ゆらです。どうぞ、よしなに…」
クラスに転校生が来た。
京都から来たという、花開院さん。
「(…なんか、あの子…“違う”)」
ジッと花開院さんを見る。そして見れば見るほど―――なんか、こう、違う気がする。妖怪とはまた違うモノを感じた。
「(花開院花開院……なんか聞いたことあるな…)」
昔の記憶の片隅に追いやられたた単語を引っ張りだそうとしたが、やはり出てこない。雪女に聞いてみようかな……。
「それじゃあ、席は鳴神の隣で。鳴神さん、手を挙げて」
「…あ、はい」
担任に言われて、そういえば自分の隣の席が空いていたことに気付いた。忘れてたや。
花開院さんがゆっくり近付いて来て、机に鞄をかけながらこっちに笑いかけてくれた。
「よろしゅうに」
「こちらこそ。鳴神零です」
ニコッと微笑む大人しい雰囲気の花開院さん。意外と接しやすいかも。関西か……大阪のおさかべ姫は元気かな。帰ったら久々に文を送ってみよう。
「あの…鳴神さん」
「、ん?」
「良かったら教科書見せてくれへん?まだ貰ってへんから…」
「ああ、いいよ。大変だね転校生は。でも……どうしてわざわざこの学校へ?京都から遠いのに…」
「……………」
普通に疑問を投げかけたら、何故か押し黙った。……おかしな質問はしてないよね……。
HRが始まると、花開院さんが声を潜めて言い出した。
「…鳴神さんは、妖怪って信じとる?」
「………」
あ、ヤな予感。
「……まあ、一応。信じてはいるけど…」
「………この町ではよく妖怪が出没するってことで有名なんや。そして私は――それを退治しに来た、陰陽師」
「……………」
ああ…そうだ。思い出した。
花開院。
平成に残る―――数少ない有力の陰陽師。
これはまた…厄介なことになってきた。
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