雷神様と百鬼夜行!
□雷神様とお宅訪問A
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私の目の前にいるのは、おそらく……いや間違いなく『ぬらりひょん』だろう。この特徴的な容姿で間違いはしない。
「一人でどうしたんだい?」
「……いえ、お手洗いを借りていただけですので」
「おぉ、そうじゃったのか。部屋までの道は分かるかい?」
「あ…じゃあ、案内、お願いします」
「よしよし」
皺くちゃの顔に笑顔を浮かべるぬらりひょんは、本当にそこら辺にいる老人のように見える。………後頭部長いの以外は。
先を歩くぬらりひょんの後ろ姿を眺めながら、思う。本当に隠すのが上手い妖怪だ――と。まったく違和感を感じさせないのは、彼の力の一つだろう。
「お嬢さん、名前は?」
「、鳴神零です」
「ほう。いい名前じゃな」
「――…ありがとうございます」
名前を褒められるのは、嬉しかった。
私は無意識に笑みを浮かべていたのだろう。彼は少し驚いたようにして立ち止まり、私を見ていた。
「何か?」
「……いやー、お嬢さん、随分と綺麗に笑うのぉ。こりゃ将来が期待出来るのぉ」
「…………」
何を考えているのか分からない。
これも彼の能力………いや、ただの性格だろうか。
再びのんびり歩いていると、彼はまた、私を振り返りながら問い掛けた。
「お嬢さんはリクオとは仲が良いのかい?」
「……? いや、クラスメートってくらいじゃないかと…」
「………………こりゃリクオの片思いか……?」
「? 何か言いました?」
「いやいや!何もない」
ボソッと何かを呟いた気がしたのだけど、気のせいだったようだ。
そして元の部屋に戻ってきた。
ぬらりひょんは無遠慮に襖を開けた(いや、彼の家なのだから遠慮する必要はないのだけれど)。
「おうリクオ。友達かい」
奴良くんがコケたのを見た。
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