雷神様と百鬼夜行!
□雷神様と女郎蜘蛛
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「…確かにまだ決心をするつもりはないが、いずれは、な」
「…」
「それと」
まだ何かあるの?とふて腐れ気味の零の顔を見て見ぬフリをした女郎蜘蛛は、杯を置いて立ち上がった。
「あまり、人間と親しくしん方がいい」
「……」
「別れが辛くなるだけじゃ」
「―――人間とは親しくならないよ。裏切りが多いもん、彼らは」
自分の利益の為に、誰かを身代わりにするような人間が―――嫌いなんだよ、私は。
冷えた瞳でそう言った零。
冷徹な、憤怒にも似たその無表情に納得したのか、女郎蜘蛛はフッと笑う。
「ならいい。…忘れるでないぞ」
「………」
「ではな」
背を向けた女郎蜘蛛は、そのまま闇夜に溶けて消えた。
完全に気配が遠退いた頃に、零は嘆息する。
「……苦手な奴、やっぱり…」
空になった杯を指でくるくる回し、苦笑いを浮かべた。白んできた薄暗い空を見上げる。
また、朝がきた。
【雷神様と女郎蜘蛛】
(「……あら?」)
(「……………」)
(「寝不足ですか?零様。珍しいですね」)
(「…あー、まぁね」)
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