雷神様と百鬼夜行!

□雷神様と陰陽師
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* * * *



「あ…っ零さん!」

「?」




 休み時間、トイレを済ませて廊下をてくてく歩いていたら、後ろから声をかけられた。あれ、私を名前で呼ぶ人いたっけ……。
 疑問に思って振り向くと、そこにはこの間の及川氷麗さんと奴良くんがいた。呼んだのは…及川さん?




「こんにちは!」

「こんにちは。えっと…及川さんと奴良くん」

「鳴神さん、その…この間はごめんね」




 若干頬を染めて申し訳なさそうに謝ってきた奴良くん。何で謝ってる…………ああ、そっか。旧校舎で奴良くんちょっと泣いてたっけ。気にしてないのに。




「気にしてないから気にしないで」

「う、うん」

「零さんは清継くんの所に行くんですか!?」

「? 清継くん…?」




 ピク、とあからさまに反応してしまい(勿論嫌そうに)奴良くんが苦笑いしていた。だって彼は厄介事しか持ち込まない。




「なんか、彼の家で『呪いの人形』って奴を見に行くそうですよ」

「呪いの、人形?」

「はい」

「……行かない。興味ないし。清継くんの家に行きたくないし…」

「え、来ないの?」

「え?」




 残念そうな奴良くんの言葉を思わず聞き返してしまった。そして奴良くんは顔を赤くしてなんか唸りながら頭抱えてた。風邪?




「ななな何でボク今残念に思っ……!?」

「………おーい、奴良くん…?」




 いかん。聞こえてない。

 肩を竦めると及川さんが首を傾げていた。




「そういえば零さんは清継くんのこと、嫌ってましたよね……何でですか?」

「…嫌ってるってゆうか…ムカつく」

「え?」

「―――何の対処も知らずに妖怪のことを調べて探って、そのくせに逃げたりそれを妖怪の所為にしたり……それが腹立つ。妖怪だって、静かに暮らしたいだろうに」




 うちの妖怪達がいい例だよ。そうでなくてもデリケートな妖怪が多いのに探ったり騒いだりするから……その分の慰めは私がしなきゃいけなくなる。

 はあ、と溜息を吐くと及川がキラキラした目線でこっちを見ていた。………あ、そっか、奴良くんが妖怪ならあの場にいた彼女も妖怪なのか……。




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