雷神様と百鬼夜行!
□雷神様とお宅訪問@
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案内された部屋は広かった。
ビュウウウ、と風が吹くと障子がガタガタと揺れ、カナや島は息を飲んだ。
「…なんか本当に出そう」
「奴良くんこんな家に住んでたんだね」
「いい雰囲気。それじゃ始めよう。今日は花開院さんに…プロの陰陽師の妖怪レクチャーを受けたいと思います」
「は、」
清継は早速ゆらへと話をフッた。
ゆらは一瞬反応が遅れたが、何から話そうか言葉を探す。
「そう――ですね…最初にこの前の人形―あれは典型的な“付喪神”の例でしょう」
「つくも神?」
「島くん!!君は何も知らないねぇ!!」
心底不思議そうな島に、清継がすかさずツッコミをした。
「『器物百年を経て化した精霊を得て より人の心を誑かす』
付喪神は打ち捨てられた器物が変化した妖怪なのです。妖怪は色々な種に分けることが出来ます。人の姿をしたもの。鬼や天狗、河童など超人的な存在。超常現象が具現化したもの…さきほど言われていたふらり火など。妖怪の1/3は火の妖怪であると言われています。
やつらの目的は…みな、人々をおそれさせること。
なかでも危ないのは獣の妖怪化した存在!やつらの多くは知性があっても理性はない。非常に危険!
欲望のままに化かし、祟り、切り裂き!!喰らう!!けっして…“さわらぬ”ようお気をつけ願いたい!そして――それら百鬼を束ねるのが、妖怪の総大将――『ぬらりひょん』と…言われています」
零はちらりとリクオを一瞥する。若干、目が見開いているように見えた。
「うわさでは…この街に“いついている”という―」
「“ぬらりひょん”か――妖怪の主とは言え…小悪党な妖怪だと思っていたよ」
「そうでもないよ」
「鳴神さん?」
思わず口を挟んでしまった零。意外な人物に回りは驚いていて、言った本人も驚いてしまった。
何事もなかったかのように平静を保ち、思っていたことを言う。
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