狩り人

□08
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 それに気付いた信玄公が、その太い腕を組んで笑みを浮かべた。




「ほう、名を呼んだだけで反応しよった。やはり儂の目に狂いはなかったか」

「…そうかぁ?反射みてーなもんだろ?」

「いや。大臥は他人が名を呼んでもまったく反応せん。この城の者でも、反応するのは儂や幸村に、佐助といったところか」




 少なくねェか?
 指折り数えている信玄公を一瞥し、いまだこっちを見ている馬と視線を交わした。
 ……やっぱり、コイツ、威嚇してやがる。さっきから足がいつでも蹴れるように地面を蹴っている。………面白ェじゃねーか。




「…オイコラ馬」




 馬、と呼ぶと不愉快そうにブルルッと鼻を鳴らす。随分人間くさい奴。




「今日から、お前が俺の相棒だ。文句は聞かねぇぞ。振り落とせるもんならやってみやがれ、蹴れるもんならやってみやがれ。俺はお前を連れていく――――日ノ本を巡るぞ、大臥」




 すっ、と手を伸ばす。
 大臥はそれをジッと見ていて、何の反応も示さない。俺はそのまま手を伸ばし続け―――大臥の鼻筋を撫でた。

 抵抗せず、大人しい大臥に笑う。




「……いい子だ」




 よろしくな、相棒。
 明日から、お前は俺と日ノ本を練り歩くんだ。




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