雷神様と百鬼夜行!
□雷神様とお宅訪問A
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* * リクオ視点 * *
ガラッ!と襖を開けて入ってきた祖父ちゃんに心臓が飛び跳ねた。しかも普通に入ってくるってどーゆうこと……!?
カナちゃんや清継くんが祖父ちゃんに会釈するのを見ながら、ちらっと花開院さんを見た。………どうやら気付いてないらしく、普通にしている。ホッとした。
「零ちゃん、この部屋であっとるかな?」
「はい、ありがとうございます」
「……! 鳴神さん!?」
祖父ちゃんの後ろから現れた鳴神さんにギョッとした。……そういえば途中からいなかった!?
ハラハラしていると、鳴神さんが祖父ちゃんに会釈して僕の隣に座った。ちょっと近い距離にドキッとする。端正な横顔を眺めてると、くるっと鳴神さんが僕を視界に入れた。
「奴良くん?どうしたの?」
「えっ!?いやいや、何もないよ……!」
「そう?」
「う、うん!そっそれより、祖父ちゃんが何か失礼なことしなかった?ってか言わなかった?」
あの祖父ちゃんのことだから、いらないことを言っているかも知れない。―――祖父ちゃんにはバレてると、思う……ボクが鳴神さんに、好意を抱いているのを。
鳴神さんはキョトンとし、そして小さく笑った。
「何もなかったよ。名前聞かれたりしただけ」
「本当に?……はー、良かった…」
「?」
不思議そうに首を傾げる鳴神さんに苦笑いを浮かべる。
何はともあれ――
これで何とか、危機は去った。
―――皆が帰ったあと、ぐったりした妖怪達が広間に集まった(ぐったりしてるのはボクも例外じゃない)。
「まったく…ワシを見習わんかい。たかが陰陽師の小娘一人に大慌てしおって。ワシなんか大昔は陰陽師の本家行ってメシ食って帰って来た事もあったぞ」
「さすがにそれは総大将しか出来ません」
祖父ちゃんの言葉に、木魚達磨の最もな台詞を返す。木魚達磨はやれやれと首を振り言った。
「とはいえ…みなも妖気くらい消したり出来なくては。“付喪神”なら物に戻るとか、いくらでも方法があるだろうに」
「じゃーワシらはどーしたら…」
「人型になれ!」
「首が切れてる人は…」
「くっつけろ!」
ガヤガヤと騒がしい妖怪達を余所に、ボクは毛娼妓に扇いで貰いながら後ろ手に畳みに手を付いた。
「(はあ……疲れた…)」
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