雷神様と百鬼夜行!

□雷神様とお宅訪問A
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 家の方向が一緒だから、家長さんと一緒に帰っていると「あ」と彼女が声を上げた。




「?どうしたの?」

「ほら、あれ」

「…花開院さん?」




 制服姿で歩いているのは、花開院さん。
 彼女が通ろうとしているのは、キャバクラやホストクラブが並んだ一番街。お世辞にも治安のいい所とは言えない。
 家長さんと目を合わせると、彼女の後ろを追った。

 チャラい格好をしたホストやキャバ嬢が花開院さんを見て笑うのを見遣り、声をかけた。




「ゆらちゃん!」

「あ…えと…家長さんと鳴神さん…?」

「この時間は危ないよ、この辺」

「え?」

「暗くなってくると、態度の悪い連中が増えるんだよ」

「いこっ。どこ住んでんの?あ、一人暮らしなんだよねー」




 ガラの悪い連中が増えるのもあっているが――――この辺りは、“獣臭い”。あまりいるべきじゃない。

 花開院さんの隣に並ぶ。
 見ると、花開院さんに元気がないように見えた。




「……どうかした?」

「……、私って…まだ修業が足りひんわ…本当にいると思ったのに…奴良くんに失礼なことしてもーた…」




 本当に申し訳なさそうに俯く花開院さんに、思わず家長さんとアイコンタクトを交わしてしまった。相当落ち込んでる。

 すると。




「わっ。女の子が落ち込んでるよ〜〜〜〜。ひーろった!オレの店まで持って帰っちゃおーっと」

「え!?」




 チャラいホストと思われる男が絡んできた。さっと花開院さんがこっちに避けてきた。そして―――私は、その“臭い”に顔を顰める。
 家長さんと花開院さんの手を取ると、彼女は何と汲み取ったのか、きゅっと手を握り返してきた。




「行こう…ゆらちゃん、鳴神さん」




 その横を通りすぎようとしたが、他の男達が集まってきた。家長さんが戸惑っているのを見て、彼女を引き寄せて後ろに隠した。
 そして、花開院さんも気付いたようだ。神妙な顔付きで「下がって…鳴神さん、家長さん」と注意を払う。




「ゆら…ちゃん…?」

「家長さん、こっち」




 家長さんを背後に下がらせる。
 ニヤニヤと下品な笑みをする男達が、段々とその本性を剥き出しにしていく。




「つれなくすんなよ子猫ちゃん。

 アンタら…三代目の知り合いだろ。


 夜は長いぜ。骨になるまで…しゃぶらせてくれくれよォォ」




 どうやら、私の鼻は狂ってなかったらしい。


 獣妖怪――旧鼠。





【雷神様とお宅訪問A】




(「お、遅い……零様の帰りが遅い…!」)
(「…ちょっと雪女。ナニよアレ」)
(「零の帰りが遅いって、川姫が心配してるのよ」)
(「…………………ウザいわァ」)
(「何か言いました雪女郎!?」)
(「アンタ、そういうのはしっかり聞こえてんのね」)




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