狩り人
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「……っにしやがる!!」
「い゙っ!?」
怒った零の拳が元親の頬をとらえた。
細い腕からは考えられないような腕力に驚きながら、元親は障子を突き破って廊に転がった。
受け身をとりながら起き上り、殴られた左頬を片手で撫でる。
「痛ェなー…!でも、そうか……………お前……女だったのか…」
「………文句あるか?」
「ねぇ、ねぇから!拳を握んな!」
据わった目で見下ろしてくる零が怖い。
慌てて制止し、元親は零の腕を引っ張り自分の部屋に向かう(零が借りていた部屋の障子が破けたから)。
零を部屋に入れると、座るように促して元親も座った。
「とりあえず、現状の整理だ」
「……………」
「零は実は女で、男装をしてた……その理由はなんだ?」
「言う必要があるのか…?」
「教えてくれよ」
「………………」
渋い顔をしたが、元親の目に負けて溜息をついてポツリポツリと話し出した。
「……女だとバレれば、山賊共の不快な視線を受けることになるからな。それと、旅路に女の格好だと狙われやすい。……山賊狩りをするぐらいだから、男の方が都合が良かった」
「…そうか……」
壁に寄り掛かり、空中を見つめる零。
―――泣きそうな顔に見えるのは、気のせいだろうか。
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