逆説2
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「―――にぃちゃ!」
「零」
後ろから走り寄ってきた妹を、戒は難なく受け止めると擦り寄ってくる小さな頭を撫でた。撫でられて嬉しくなった少女はにへらと破顔した。
「えへへ」
「どうしたんだ?」
「にーちゃがみえたから、きた!」
「そっかそっか〜」
4歳の妹はまだ幼い。
戒も8歳らしいあどけない笑顔で妹を構っている。
「にーちゃ、あそぼうや!」
「いいよ。何してあそぶ?」
「えっとなー、裏山に行きたい」
「……あそこは危ないって母さんたちに言われてるだろ?」
「えー…」
「……んー。裏山は零のテリトリーだからなぁ………。あ、さてはまた一人で裏山に行ったな」
「ぎく」
自分でぎくって言ってるし……。
戒は苦笑いすると零から身体を離して、かわりに手を握った。
「しょうがないな。母さんたちには内緒だぞ?」
「! うん!」
ぱぁっ…と目を輝かせる零。
嬉々として戒の回りをちょろちょろしながら、自分が先導して裏山へ向かった。
普通の子供なら立ち入ることが出来ないような、裏山へ。
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